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社会の変化に応え続けるテントハウスメーカー 「株式会社もちひこ」

株式会社もちひこは1987年の創業以来、静岡県由比地域を拠点にテントハウスメーカーとして、日本中の産業・商業・スポーツ・防災分野を支えてきた。創業から38年間にわたり北海道から鹿児島まで事業を広げてきた背景には、単なるテントハウスの提供にとどまらず、社会の変化や現場の課題に真摯に向き合ってきた姿勢がある。就職活動が進む中で“なぜこの企業は必要とされ続けているのか”という視点を持つようになったが、同社はその問いに対し、明確な答えを示している企業だと強く思う。

近年は、企業の設備更新や事業転換のスピードが速まり、建物自体が数年で役割を終えるケースも増えている。そうした中で、テントの柔軟性は、多くの現場で価値を発揮している。移設や再利用がしやすく、自然光を活かした明るさ、拡張性、耐久性、短い施工期間など、変化に対応できる特徴が求められているという。こうした価値は、単なる「便利な代替手段」ではなく、現場が求めている具体的な課題に応えてきた結果

特に印象に残ったのは、望月社長が語った熊本地震での支援エピソードだ。避難所不足の深刻な課題を前に、同社のテントは被災者の生活を支える“場”として機能した。現地の声を直接聞き、そこで得た課題認識が宿泊用・災害対応型テントという新たな製品開発へのヒントを得たという。現場で得た課題を、その場で終わらせず、次の価値につなげていく姿勢こそが、38年間事業が途絶えず必要とされてきた理由だと考える

同社の強みは、自社工場を持つからこそ可能になる一貫体制だ。設計から施工、アフターサービスまで自社で完結し、施工後も定期的に訪問しながら、張り替えや修理、改造の相談に素早く応じる。「お客様は専門家ではないからこそ、一緒に考える伴走型の姿勢が必要だと望月社長は語る。この言葉に、単なるモノづくり企業ではなく、10年・20年と続く“関係性”を重視する企業文化を感じた。企業研究でもよく耳にする顧客志向という言葉が、ここでは具体的な日常業務として息づいている。

事業領域はさらに広がっている。特にスポーツ分野では、全天候型の練習環境が求められ、少子化の中でスポーツ設備を魅力として打ち出す学校も増えているという。また、熱中症対策として屋外作業者向けのクールダウンルームや遮熱膜の開発を進め、大学との共同研究で風の流れや温度変化を科学的に分析する取り組みも始まっている。社会の変化を捉えながら、新しい価値をつくる姿勢が随所に見えた。

望月社長が語った自身の経験も印象深い。入社2年目で倒産危機を経験し、教えてくれる人がいない中でも現場から学び続けたという。しかし今は若手が安心して挑戦できる環境が必要と考え、世代の価値観の違いを理解し合う組織づくりに力を入れている。

さらに社員の方々に受け継いでほしい価値観として「損得ではなく善悪で判断すること」を挙げた。短期的利益に流されず、正しいと信じることを追求する姿勢こそが同社の伝統であると言う。この言葉は、単に事業運営の指針というだけでなく、人としてどう生きるかという根源的な問いにも通じる考え方だと感じた。そしてその言葉の背景には、真摯に人と向き合い、責任から逃げずに歩み続けてきた望月社長の誠実な人柄が滲み出ていた。

最後に望月社長は、「テントを社会インフラとして認識される存在に進化させたい」と語った。産業、災害、スポーツ、教育、熱中症対策——あらゆる場面で課題解決の手段として当たり前に選ばれる未来を目指す。テントが社会の安心と未来を支えるあたりまえの選択肢となる日が来るかもしれない。

(株式会社もちひこHPより引用https://www.mochihiko.co.jp/

静岡県で育った私にとって、地域に根ざしながら全国で価値を届け、社会課題の最前線で新しい答えを示し続ける企業が静岡に存在することは、大きな誇りである。今回の取材を通じて、自分は将来「どんな姿勢で働きたいのか」という問いに、ひとつの方向性を見いだした。それは、短期的な利益に振り回されるのではなく、自分が正しいと思えることをまっすぐに追求する姿勢である。

株式会社もちひこが大切にしてきた価値観や取り組みには、その姿勢が貫かれていた。 だからこそ、同社は“働くことに誇りを持てる場所”であり、心から“働きたいと思える会社である”と強く感じている。

株式会社もちひこHP:株式会社もちひこ | テント倉庫・テントハウスメーカー

〈執筆者〉福知山公立大学 地域経営学部 地域経営学科 4年 太田真鈴

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