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市民の想いを形に!応援者として市民を支え続ける

今回取材したのは福知山社会福祉協議会職員の桐村風香さんです。桐村さんは現在、主に地域担当とボランティア担当として「福祉のまちづくり」を目指した活動をされています。高齢者施設での勤務経験から得た感覚を生かした高齢者の方との交流や市民の方との対話、福祉に関する発信を中心に行われています。今回の取材の中で桐村さんには、福祉の面で見た福知山の魅力、社会福祉協議会職員という仕事のやりがい、今後の展望などについて伺いました。

目次

仕事内容について

Q.福祉の対象としては子ども、高齢者、障害を持つ方などと様々だと思うのですが、具体的にはどういった取り組みをされているのですか? 

私は現在、地域福祉課に所属しており、主に地域担当とボランティア担当として業務にあたっています。高齢者分野では、福知山市の成和学区の地域担当を務めており、「ふれあいいきいきサロン」という集いの場の運営支援や、福祉推進協議会の活動のサポートを行っています。ふれあいいきいきサロンでは、福祉出前講座として介護予防のお話やレクリエーション活動などを実施しています。

障害福祉分野では、小学校に出向いて理解啓発活動を行っています。具体的には、車椅子体験やアイマスク体験の実施、運動会などの学校行事への参加、また、そのような行事にボランティアとして参加する学生の支援も行っています。

子ども分野では、小・中・高校生を対象とした福祉学習や施設体験学習を実施するとともに、子ども食堂などの居場所支援にも関わっています。他にも、生活や金銭面で困難を抱える方への支援としては、フードバンク事業に取り組んでいます。これは、社会福祉協議会に寄付いただいた食品を、福知山市役所の各相談窓口と連携しながら、生活に困っている方に配布する取り組みです。

全体的な活動としては、災害ボランティアの立ち上げや運営訓練、地域イベントへの参加なども行っており、最近では防災食体験として、「じゃがりこを使ってポテトサラダをつくる体験」など、親しみやすい体験型の活動も実施しています。

Q.福祉の観点で見た桐村さんが思う福知山市の「良い点」を教えてください。

福知山市の福祉の観点で良いと感じている点は、昔から住んでいる方が多いこともあり、地域のつながりが今も根強く残っているところです。無理に人を集めようとしなくても、日常の中で自然と顔を合わせる機会がある、そうした環境があるのは大きな魅力だと思います。
例えば、新聞配達ひとつを取っても、街中では一軒一軒に届けられるのに対し、山間部では何軒分かが一か所にまとめて配達されることがあります。その新聞を取りに行く過程で、自然と人が集まり、ちょっとした交流が生まれる。そうした、暮らしの延長線上にあるつながりのかたちは、とても福知山らしい良さだと感じています。

福祉の現場ではつい「〇〇が足りない」「これを何とかしなければ」といった“ないもの”に目が向きがちですが、まずは “今あるもの”の価値に目を向け、それをどう活かしていくかという視点を大切にしたいと考えています。

仕事に対するやりがい

Q.社会福祉協議会でのお仕事をされる中でやりがいを感じたエピソードはありますか?

元々人と関わることが好きなので、仕事をしていてやりがいを感じる場面は多いです。特に印象深かったのが今年から再開した施設体験学習に関する出来事で、令和2年度以降、新型コロナウイルスの影響もあり施設の受け入れが難しいという状況がありました。そこで令和5年度、6年度には従来の施設での体験ではなく、中高生を対象とした社会福祉協議会や講師、ボランティア、サロン活動者の方をお招きして、楽しく福祉とボランティアを学び、体験していただくためにサマースクールを実施しました。ご参加いただいた中高校生が今年になり、ボランティアや施設体験に参加をしてくれました。「誰かのやってみよう」のきっかけになれたこと、そしてその事業に関われたことがとても嬉しかったです。

このように社会福祉協議会職員は誰かのやってみようを応援することができる仕事であると考えていて、そういった仕事が自分の性に合っているのかなと感じています。特にやりたいことがある人の相談を聞く中で次はどうしていったらいいのかなという部分を一緒に考えて、小さい部分からであっても新たな一歩を踏み出すことができる後押しをできることにやりがいを感じます。

Q.幼い頃から20歳までの間に好きであったこと、興味があったことはどんなことですか?

私自身、生まれも育ちも福知山で、身体を動かすことが好きで水泳や体操、テニスなどと様々なスポーツを楽しむ女の子でした。今につながっていると感じるところは、お菓子づくりをすることが小学生の時から好きで、今もパン作りをすることもあるのですが、その時に自分自身のためにというよりも、お母さんが喜んでくれること、おばあちゃんが褒めてくれることが嬉しかった、誰かが喜んでくれることが嬉しかった、という記憶があります。
お菓子づくりの話もそうなのですが、高校生の時に進路を決めるにあたって何になりたいか、と考えた時に「自分が嬉しいよりも人に喜んでもらえる方が好き」だったところから福祉の道に導かれたように感じています。進学した大学には福祉だけではなく、教員免許や保育の資格も取れるコースがありました。入学した当時は子どもも好きだったため、保育に進むのかなって思っていました。

Q.今までの経験の中で今のお仕事に結びついているものはありますか?

今につながる大きなきっかけとなったのは大学一年生の時に紹介で介護施設での見守りのアルバイトをさせてもらうことになったことです。そこから高齢者分野に興味を持つようになって、進路としてもその方向で進むことに決めたのが20歳頃だったかなと思います。ただ、高齢分野で働けたらいいなって考えてはいたのですが、社会福祉協議会とまではまだ考えていなかったです。

仕事を選んだきっかけ

Q.桐村さんはなぜ社会福祉協議会職員というお仕事を選ばれたのですか?

大学を卒業してからは特別養護老人ホームで4年間、介護職として働いていました。今の社会福祉協議会での仕事を考えるようになったきっかけとなったのは、今から6年ほど前に母が民生児童委員になったことです。研修の内容を話してくれたり、民生委員としての活動について話してくれる中で、福知山にもヤングケアラーであったり、母子家庭という環境で生活に困っている方がいるという事実を知ることになって、当時自分が関わっていた高齢福祉分野だけではなくもっと様々な分野の福祉に携わってみたいと感じました。

社会福祉協議会に入ってから、学ぶことが本当に多くあります。高齢者が施設に入所することで、地域や他の住民の方々とどこか切り離されてしまうような感覚をもたれることを感じていました。施設の窓から外を眺めながら、「ゲートボールに行っとったんや」「グラウンドゴルフに行っとったんや」とつぶやかれたご利用者さんの言葉や、その時の光景が今でも心に残っています。その後、社会福祉協議会に入り、地域のお祭りや行事に施設の方が参加されている姿を見て、地域と施設がつながっていることを実感しました。これまでの経験を生かしながら、自分だからこそできることや、自分ならではの視点を大切にできたらいいなとも思っています。

今後の展望について

Q.今後どのように社会福祉協議会での活動を展開していきたいと考えていますか?

自分自身が楽しく仕事をすることを大切にしていきたい、と思っています。社会福祉協議会は自分たちが1番前に出て活動する機会ももちろんありますが、それ以上に地域住民が主役となってしている活動を裏方として支える、応援するという面が大きいのかなと考えています。住民を支援・応援するためにはまず住民の声が重要となってくるので、その声を聞くために地域にたくさん出てたくさん関わりをつくること、その中で新たなものを作り出していくことが必要なのかなと考えています。

社会福祉協議会は企業、サロンなど様々なところとつながりを持たせていただいているので、だからこそできる「主体と主体のつなぎ合わせ」をしながら活動を広げていきたいと考えています。また、地域の方から活動のことを教えていただき、その活動を広報して広く知ってもらうことができるようにするのも大きな役割であると思っているので、そういった面で応援するということも大切にしていきたいです。

Q.若者世代に福祉という分野に興味を持ってもらうために今後していきたいと考えられていることはありますか?

福祉は若い人にとって身近なものではなく、困った時に頼るもの、という印象がどこかあるのではないのかなと個人的に感じています。小学校で福祉についてお話しをする時にはひらがなで「ふくし」と書いて、「ふ」だんの、「く」らしの、「し」あわせ、と説明しています。そういった面で社会福祉協議会は普段の暮らしを幸せに感じてもらえるようにする組織でもあると思いますし、もっと福祉を身近に感じてもらえるようにしていく使命があるのかなと感じています。普段の生活の出会いの中でつながりは広がっていくのではないかと思うので、機会づくりを意識していきたいです。

今まで知らなかったことを知ってもらって「悪くないな」、「意外といいかもな」、「実際知ってみると自分のイメージとは異なっていたな」、と感じてもらうことでイメージが変わることもあると思っています。私が思う福祉の良いところは、福祉の分野で学ぶことは仕事にしているか否かに関わらず、どんな方にとってもとても大切なことを教えてもらえるところだと思います。

また、知ることと同時に出会いも大切にしてもらいたいと思っています。社会福祉協議会として、実際に福祉に従事する方や当事者の方との関わりの中で知ってもらう機会をつくり、若い人たちにも知るきっかけを持ってもらえるよう、働きかけていきたいです。

編集後記

初めての取材でかなり緊張していたのですが、桐村さんの素敵な笑顔と寛容な対応のおかげで、終始和やかな雰囲気で取材を進めることができました。自然と笑顔が溢れるような取材でとても楽しかったですし、また一つ素敵な出会いと貴重な経験をさせていただけたと感じています。今回の取材を通じて、福祉に対するイメージが変わっただけでなく、福祉は誰にとっても身近なものであることを知ることができました。「大好きな福知山で福知山市民の声を聞き、応援者として福知山の福祉を支え続けたい。」という桐村さんの取り組みを、これからも応援し続けたいと思います。


〈執筆者〉福知山公立大学 地域経営学部 地域経営学科 2年 真嶋優妃

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