今回取材させていただいたのは、綾部市制施行75周年記念市民朗読劇「綾の糸撚る」の主催である「綾部を未来につなぐプロジェクトまゆまゆの会」の塩見さん、岩渕さん、原田さんに取材をし、この市民参加型の朗読劇に懸ける思い、今後の綾部市がどうなっていってほしいかについてお聞きしました。
市民朗読劇「綾の糸撚る」について
学生記者:今回の市民朗読劇を企画したきっかけは何でしょうか。
原田さん:朝ドラ誘致協議会というものがありまして、グンゼをテーマとした朝ドラの作成を応援しようということで朗読劇が企画されたのが始まりですね。途中で協議会が朗読劇の主催を降りたことで、朗読劇プロジェクトが終わってしまうところだったのですが、我々としては中途半端で終わらせたくないですし、この朗読劇を通じてグンゼについて知ることができたからこそ、参加者の多くが住んでいる綾部にはこんな素晴らしいエピソードがあるという思いがあって続けていくことができました。
塩見さん:私は綾部市民で波多野鶴吉さんのこともよく知っていたけれど、意外と市民の中にはグンゼの本社が綾部にあることも知らない人が多くて。劇を通して広めるというか、このまま伝わらずに終わってしまうと思うこともあります。朗読劇を通じて、ありのままの波多野鶴吉の物語を伝えるという思いで稽古にも熱心に取り組んでいます。
岩淵さん:私は京丹後市出身なのですが、グンゼの資料館を見学したことがきっかけで朗読劇に参加することになりました。小栗さん(今回の朗読劇の脚本家)のすごく力の入った指導で自分自身も楽しんで練習することができて、多くの人にグンゼを知ってもらえるチャンスだと感じています。
市民で作り上げる朗読劇
学生記者:朗読劇を市民参加型にした理由を教えてください。
原田さん:今回の朗読劇の役者は、3人がプロの俳優さんで、15人が一般市民というものになっています。ほとんどは演劇の経験はなく、未経験の人たちが試行錯誤を重ねて作り上げてきたからこそ、続けたいと思いました。
塩見さん:私たちも最初は雲をつかむような感じで、1年ほど稽古を頑張ってきていて、主催が変わり引き継いでからはより身近に感じるようになって、楽しさが増えていきました。
学生記者:プロだけに任せるのではなく、市民とプロの人たちが手を組んで作り上げるみたいな、こういった発想は大切だなって思いました。
岩淵さん:本当に素人の私でも出られるのだって思って。みんな温かい目で見てくれて。
学校の文化祭みたいな、上下関係のない温かさがあって、楽しく練習ができる場でした。
市民同士だからこそ仲間意識が出来て、今まで続けていくことができたと思っています。

クラウドファンディングによってこんな願いをかなえたい
学生記者:クラウドファンディングの返礼品を高校生以下の無料招待にした理由を教えてください。
原田さん:やっぱり波多野鶴吉のことをあまり知らない若い人たちに知ってほしいという思いが強いですね。あと、朗読劇のような形であれば、退屈せず、楽しんで見てもらえるのではないかと思います。
学生記者:自分もここまで話を聞いていて、綾部の朗読劇に興味を持つことが出来ました。綾部の若い人たちが、この朗読劇を通じて綾部の魅力に気が付くきっかけになればいいですね。
綾部を朗読劇で彩る
学生記者:最後に、この朗読劇を経て、今後綾部市がどうなってほしいか教えていただきたいです。
岩淵さん:今回鶴吉さんの物語にかかわることが出来て、この朗読劇を伝えていくことで綾部の若い人たち、他の地域から来た人たちにも綾部の魅力を実感してほしいと思っています。こんな魅力的な街だからこそです。
塩見さん:綾部市は第六次計画を立てている途中なのですが、最近人口が3万人を切ってしまって。少ない人口でもできることがあるということを伝えていきたいです。口癖でなにもないと言ってしまっていたけれど、何もないからこそ、何でもできる、作り出せるという逆転の発想を持って、やりたいことができる街にしたいなと思っています。大人も本気になったら何もない所からでも作っていけることを見せていきたいです。
原田さん:僕は演劇的な観点から話すのですが、京都府北部には4つの社会人劇団があって、綾部にもあるのですが今は休眠状態で活動していないと聞いています。こういった演劇事業を通じて、演劇を主催するような人が増えてくれればいいなって思っています。演劇そのものの多様性を増やしていくことで、人を感動させたり、勇気づけたりできればいいなと思います。
学生記者:3人それぞれ異なる観点から思いを知ることが出来ました。ありがとうございました。

レポート後記
今回の綾部を未来につなぐプロジェクトまゆまゆの会への取材から、温かな雰囲気とこの朗読劇と綾部に対する熱い思いを実感することが出来ました。この朗読劇が、地域住民にとって誇れる魅力となってほしいと思っています。記事としては読劇の成功を願っています。
<執筆者> 福知山公立大学 地域経営学部 地域経営学科 2年 畠山瑛成
綾部市制施行75周年記念 市民朗読劇「綾の糸撚る」
https://www.city.ayabe.lg.jp/0000005427.html
地元企業の創業者・波多野鶴吉の物語で綾部市を元気にしたい!朗読劇プロジェクト