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“見た目からストーリー”へ、B型就労の価値をブランディングから

今回取材したのは、地域資源であるオリーブを活用した商品によって、B型就労者の社会課題解決に取り組む「オリーブフィナンシェプロジェクト」でブランディングチームリーダーを務められている太田凜成さんです。太田さんにはオリーブフィナンシェのパッケージに込めた思いやこのプロジェクトを通して届けたい価値をブランディングの視点から伺いました。

シリーズ①の取材記事:https://nextefukuchiyama.com/archives/1795

目次

オリーブフィナンシェプロジェクトについて

学生記者:太田さんがブランディングチームとして関わっておられるオリーブフィナンシェプロジェクトでは具体的にどういった活動をされているのですか?

太田さん:まず、 オリーブプロジェクトはオリーブオイルを作る際に9割のオリーブが捨てられていることを知り、これらの資源を「美味しい」に変換することで新たな価値創造を目指し、商品開発を行うプロジェクトとして始動しました。そして、ただの商品開発というプロジェクトではなくて、B型就労者の方の就労支援も関わっている点がこのプロジェクトの大きな特徴です。地域資源を使った循環型の地域プロジェクトのようなイメージをしていただければと思います。

具体的に言うと、オリーブの葉を使ったフィナンシェを作るのですが、そのフィナンシェを作るのはB型就労者の方です。このB型就労者の方たちが作った商品を様々な地域の方、多くの人々に食べてもらうことによって、福知山という地域を知ってもらうのと同時にB型就労者の方たちがされている丁寧な仕事について伝えることが今回のプロジェクトの目的です。

プロジェクトへの想い

学生記者:私はこのオリーブプロジェクトのお話を聞くまでB型就労のことを知らなくて、今回の取材を通じて初めて知りました。B型就労者の方々を知ったきっかけや、そこをプロジェクトにつなげていこうと思ったのかというつながりといった部分をぜひお聞きしたいのですが、太田さんはどういった形で捉えていらっしゃいますか?

太田さん:先ほども少しお話したのですが、京都府宮津市にあるMAEDA OLIVE FARMさんで、そのオリーブの残渣物が廃棄されているため有効活用したいというお話があって、そこにあまづキッチンさんhttps://nextefukuchiyama.com/archives/1710)というB型就労者の方々の就労支援をされている団体がいて、このあまづキッキンと協力をして商品開発をしようと思ったのがこのプロジェクトの始まりです。

まずはあまづキッチンさんに食べに行ったのですが、そこで働くB型就労者の方が本当にすごく丁寧な仕事をされていて、オリーブの残渣物とあまづキッチンさんで働いているB型就労の方々のことをお菓子づくりという形を通してうまく広めることができないかなと感じたのがこのプロジェクトを始めたきっかけです。

学生記者:ありがとうございます。先ほど、お菓子づくりを通してB型就労の方々のお仕事の価値を広めていきたいという思いから、このプロジェクトを始められたと伺ったのですが、お菓子と一言で言っても様々な種類のものがあるように感じました。

そこでお聞きしたいのですが、プロジェクトを進めるにあたって、フィナンシェ以外の別のスイーツなどで価値を広めていくようなことについては考えられていらっしゃったのでしょうか?

太田さん:そうですね。最初はパンやお菓子、キッチンのパンとかお菓子作りをしていて、 最初はアイスの開発を進めていました。しかしアイスの方は保存面と難易度面で難しい課題があったので、難易度面でもB型就労者の方が作れることや賞味期限などの面でフィナンシェが一番適しているのではないかという話になり、フィナンシェを選びました。

ブランディング部門について

学生記者:続いて具体的にプロジェクト内で中心となって関わっていらっしゃるブランディング部門についての話をお聞きしたいのですが、ブランディング部分ではどういった活動を主に行われているのですか?

太田さん:ブランディングチームでは、主にフィナンシェの世界観や方向性を決めています。具体的には、パッケージのデザインや商品名に込められたストーリーを、まだそのストーリーを知らない方にも伝わるようにするには、どんなマーケティングができるかといったことも考えています。商品のパッケージ自体からは少し離れる部分ではありますが、そうしたことも含めて活動しています。

学生記者:ありがとうございます。 特にブランディングをするにあたって、ブランディング部門として、特に太田さんの中で大切にしていることや、ここは外せない、といったようなポイントのようなものはありますか?

太田さん:やはり一番大切なのは、商品を手に取っていただくために、受けのよい、きれいなデザインを目指すことだと考えています。ただ、それ以上に伝えたいのは、商品が生まれるまでの背景です。たとえばB型就労事業所の利用者の方々が関わっていることや、今回使用しているオリーブの残渣物といった地域資源の存在です。

とはいえ、そうした背景を前面に出しすぎると、やや堅苦しい印象になってしまうため、あくまで“伝えすぎずに伝える”というバランスを心がけています。具体的には、ギフトボックスの中にリーフレットを同封し、そこに商品のストーリーを記載したり、SNSの発信を通じて開発の背景や想いを知っていただけるよう工夫しています。リーフレットを作成する人、文章を書く人、SNSを担当する人などという形でみんなで役割分担をしながら行っています。

学生記者:次にプロジェクトへの思いについてもお伺いしたいのですが、ブランディング部門としてプロジェクトを通じてどのような方々にフィナンシェを届けたいと考えていらっしゃいますか?

太田さん:もちろん様々な人に知ってもらいたいんですけど、 フィナンシェってやはりお菓子なので、毎日忙しくて疲れている方とか、 甘いものを食べたい方に届いてほしいなと思っています。それからまず最初はデザインを見て可愛いなって感じて手に取ってもらって、 その後にストーリーを知ってもらえるようにしたいと感じています。特にフィナンシェの背景に込められたストーリーを知ってもらうことによって、普通のお菓子よりも価値を感じて食べてもらえると考えています。

学生記者:デザインで興味を持ってもらった後、ストーリーを知ってもらうというところを大切にされているのですね。実際にパッケージデザインを考える中で苦労したことやパッケージへのこだわりといった部分があればお聞きしたいです。

太田さん:そうですね。B型就労者の方々の思いを伝えたり、捨てられてしまうオリーブの残渣物といった地域資源を活用したいという目標はあるのですが、それを全面的に出しすぎると少し堅苦しいパッケージになってしまいます。そこで、まずはパッケージから興味を持ってもらえるように、練り込んだデザインにしました。

例えば緑を使ったり、温かみのあるデザインを意識することで、さまざまな人に手に取ってもらえることを目指しました。具体的には、商品デザインの中にオリーブの木のモチーフを入れるなどして、温かみを感じられるデザインにしています。

学生記者:ありがとうございます。ベンチマークにされたブランドがあるっていうふうにお聞きしたいのですが、このブランドからこう学んだ点であったりとか、 オリーブプロジェクトに特に取り入れたいと感じた点や、もう既に取り入れているという点があったらぜひお聞きしたいです。

太田さん:ベンチマーク先としては、久遠チョコレートさんというB型就労の方々が作ったチョコレートを販売している企業を参考にしました。久遠チョコレートさんの特徴は、デザインが非常に洗練されていて高級感がありながら、B型就労という点を前面に出しすぎず、硬い印象にならないところです。

実際に、商品を購入した方がホームページを見て中身を知る、あるいはSNSで社長さんの思いに触れるなど、見た目から入ってストーリーを知るという流れが印象的でした。私たちのブランディング部門でも、この考え方を大切にしており、デザインに重点を置き、見た目から興味を持ってもらえるよう、高級感のあるデザインを目指して商品を作っています。

今後のプロジェクトでの活動

学生記者:今後についてもお伺いしたいのですが、将来的にこのオリーブプロジェクトをどのように展開していきたいと考えられていますか?

太田さん:12月にクラウドファンディングがあるのですが、まずはそれをしっかりと成功させたいです。そこでは支援してくださった方々へ商品を配布することです。

その後は、市役所や地域の公共施設などでの販売を予定しています。デパートなどの商業施設での展開については、まだ検討段階ではありますが、まずは地域に根ざした場所から販売を始め、徐々に広めていければと考えています。

また、 オリーブフィナンシェのフレーバーとして、例えばハチミツ味やチョコレート味、バニラ味など新しいフレーバーを今後追加していきたいなと考えています。また他にもオリーブの葉を用いた フィナンシェ以外にも様々なお菓子を展開して地域と密接に関わる地域プロジェクトとして今後進めていけたらなと思っています。

編集後記

今回の取材を通して、改めて地域と密接に関わることの大切さを感じました。

私は大阪出身で、いわゆる“都会的な暮らし”には馴染みがある一方で、地域とのつながりや人と人との関係の濃さにはあまり触れる機会がありませんでした。

大学に入ってから、地域に根ざした活動や人との関わりの中で、その温かさや力強さを感じるようになり、このプロジェクトのお話を聞いたときは本当に心が動かされました。そしてこうして今回の取材を担当させていただけたことをとても嬉しく感じています。

これからも、皆さんの新しい挑戦や地域での活動を応援していきたいです。今後のお話をまた伺うことのできる機会がありましたら幸いです。

<執筆者> 福知山公立大学 地域経営学部 地域経営学科 2年 真嶋優妃

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