- 株式会社Seasonって?
- 農業のイメージを変えたい
- 無駄のない農業のためにSeasonが取り組んでいることとは?
- ぶどう生産の始まり・ぶどうとの出会い
- Seasonにとって福知山の地とは?
- 万願寺とうがらし日本一のSeasonが目指す事業展望とは?
- お二人らしい座右の銘
- 株式会社Seasonから学んだこと
株式会社Seasonって?
今回インタビューさせていただいたのは、福知山市三和町で農業をされている「株式会社Season」さんです。Seasonさんは、「世の中にタネをまく。」というミッションをもとに活動されています。万願寺とうがらしにおいて、日本最大規模の生産を行っており、ぶどう栽培でも精力的に活動されています。今回は株式会社Season相談役の安部大輔さんにお話を伺い、彼らが目指すこれからの農業スタイルに迫っていきます。
農業のイメージを変えたい
学生記者:Seasonさんは「農業の多様な価値をより多くの人に届け、幸せの連鎖を起こす。」というSSブランドを掲げられていますが、それについて教えてください。
安部さん:まずコンセプトとして、農業のいい面を見せていきたいというのがあります。農業は「大変」というイメージがあると思うのですが、それを覆して、農業を通して幸せの連鎖を作りたいんです。また、買い手だけでなく、作り手も幸せになるために、付加価値のある商品開発を行い、経済的な見返りが得られるようにすることも大切だと思っています。
学生記者:そうなんですね。確かに、農業は過酷なイメージがあるかもしれません。では、農業のイメージを覆すために具体的に行っていることは何ですか?
安部さん:今の主力は万願寺とうがらしの販売とぶどうの加工品販売となっているのですが、将来的には「体験」なども通して、農業の楽しさも伝えていきたいですね。
学生記者:農業体験ですか。今はされていないんですか。
安部さん:ちょうど今日(※2023年10月29日)ありました。ANAさんとのコラボだったんですが、関東と関西から20名ほどの方が来られました。皆さん、とても新鮮だったみたいで、楽しそうに収穫体験されてましたよ。
学生記者:楽しそうですね。私もぜひ収穫体験してみたいと思ったのですが、今後も収穫体験ができるイベントは考えられますか。
安部さん:やりたいのですが、まだどのように提供するか決まっていません。どこかの組織に開催してもらうのか、Seasonが主催するのか。そこを試行錯誤して考えている段階です。
無駄のない農業のためにSeasonが取り組んでいることとは?
学生記者:次に、Seasonさんが掲げられているビジョンとして、農業のイメージを変えるというのとは別に、食品ロスゼロの農業を掲げられていますが、そちらはどのように取り組まれているのでしょうか。
安部さん:Seasonは万願寺とうがらし生産日本一を謳っているのですが、それ故に、“規格外”という理由で年間約3tの万願寺とうがらしを有効活用できていませんでした。これが数年前からの課題なんです。今は万願寺とうがらしみそ(万願寺みそ)や万願寺とうがらしの味噌漬け、また中食産業や飲食店への販売等で1.5tは有効活用しているのですが、残りの1.5tを捨ててしまっているんです。ここを何とかして活用したいですね。
ぶどう生産の始まり・ぶどうとの出会い
学生記者:なるほど。では次の話題に行かせていただきます。万願寺とうがらしの経営がまだ軌道に乗らない時に、ぶどうへの参入をされていると思うのですが、その時のことをお聞かせください。
安部さん:まず、知り合いのぶどう農家の組合長さんが亡くなってしまったんです。そこで引き継ぐ人がいなくて、引き継いだというのが経緯です。以前からぶどう農家をやってみないかというお話はいただいていたのですが、万願寺とうがらしのほうで手一杯でしたし、忙しい時期も万願寺とうがらしと被っているのでお断りしていました。でも三和ぶどうの未来に暗雲が立ち込めてきたことを目の当たりにした時、自分たちに何かできることがあるのではないかと考え、引き受けました。
学生記者:そんな経緯があったんですね。その忙しい時期が被ってしまう問題についてはどう対処されたんですか。
安部さん:そもそもぶどうはジベレリン処理(※植物の成長や発芽を促進するために、植物ホルモンの一種であるジベレリンを浸漬や噴霧散布すること)を施して、種無しぶどうなどにするのですが、結構手間がかかるんです。それは難しいので、うちは最初から割り切って、農薬を一切使わずに自然の恵みだけで栽培してるんです。
学生記者:それによるデメリットはないのですか。
安部さん:消費者は種なしで皮ごとそのまま食べられることを求めるようになってきているので、それができないのはデメリットと言えばデメリットですが、うちはジュース用で作っているので、逆に種と皮の渋味がジュースにいい感じのアクセントを生み出していると喜ばれています。
学生記者:先ほどの廃棄物のお話になりますが、農薬を使わずにぶどうを栽培する以上、廃棄もたくさん出てきてしまう気がするんですが、その点はどのようにされているのでしょうか。
安部さん:生食用ではなく、ぶどうジュースなどの加工用なので粒の不揃いなどは問題ありません。ジュースにするものは、一つ一つ皮が破れていないかなどを確認しているんですが、基準に満たないものは廃棄するのではなく、干しぶどうにしています。だから、ぶどうに関しては廃棄することなく活用できていますね。でも、虫や病気のリスクはやはり高いです。私たちのぶどう栽培においてのゴールは、収穫量ではなく三和ぶどうの歴史を繋いでいくことです。なのでそれらのリスクを許容できるんだと思います。
Seasonにとって福知山の地とは?
学生記者:次に、福知山に関する質問をお聞きします。今年の8月中旬には大雨を伴う台風が直撃するなど、水害も多い福知山ですが、福知山で農業をされることについてはどうお考えですか。
安部さん:福知山は盆地なので、朝昼晩の寒暖差が大きいんです。野菜や果物というのは寒暖差が大きいとよいものができるんですね。その点、良いところといえます。しかし、災害は多いのでいつも気は張ってます。
学生記者:そこのリスクに対する対策で何か行っていることがあればお聞かせください。
安部さん:災害に関してはどうしようもないのですが、防風ネットや遮光ネットなどで対策をしています。
学生記者:次に販路についてお聞きしたいと思います。Seasonさんには、万願寺とうがらし、ぶどう、加工品などの様々な商品がありますが、それらの販売方法についてお聞かせください。
安部さん:万願寺とうがらしに関しては、基本的に農協出荷がメインで一部弊社のブランドとして販売しています。また、ぶどうジュースなど加工品に関してはクラウドファンディング(2023年2月28日終了)やふるさと納税、自社のECサイトや百貨店で販売しています。
~ここからは株式会社Season社長の久保さんにもお話を伺っていきます~
万願寺とうがらし日本一のSeasonが目指す事業展望とは?
学生記者:ここからはSeasonさんの事業展望について伺っていきます。最終的に何を目指すのでしょうか。
久保さん:今後は国内にとどまらず世界に進出していくつもりです。具体的にはインドネシアからインターン生を受け入れようと思っています。万願寺とうがらしを販売してお金に換えるまでの一定の見通しができたので、規模を拡大していこうと思いました。しかし、それには人手が必要です。そこで、インドネシアに目を付けました。インドネシアは平均年齢が29歳で、国民のほとんどが現役世代、さらに農業大国でもあるのです。加えて、主要産品の1つがとうがらしなのです。しかし、技術的にはまだまだ発展段階という状況です。そこで日本最大規模の万願寺とうがらし農家であるSeasonがインターン生にノウハウを伝えようと思いました。また、筋のある人は特定技能外国人として雇い、将来、自国の農業活性化を目標にしてもらおうと考えています。そうすることでSeasonとしても人手確保もかないます。これから11月にインドネシアの大学などと協議を進めて実現させるつもりです。
学生記者:ここで伺いたいのですが、Seasonさんにとってズバリ万願寺とうがらしやぶどうはどういったものですか。
安部さん:夢や目標をかなえるためのツールだと思っています。農業をより良いものにしたいと考えるときに、今の万願寺とうがらしとぶどうを栽培することが目標達成への近道だと思っています。
久保さん:一言でいうと手段です。 農業には大きな可能性があると思っています。今、自分たちなりにそれを示す手段が万願寺とうがらしでありぶどうなのです。これらを大きな土台として様々積み上げていきたいと思っています。
お二人らしい座右の銘
学生記者:お二人の座右の銘は何ですか。
安部さん:僕は「やらずに後悔より、やって後悔」です。やらない後悔というのはずっと残ってしまうので。
久保さん:僕は「為せば成る、為さねば成らぬ何事も、成らぬは人の為さぬなりけり」です。何とかなるという精神で何かに挑戦することで、実現が難しいことも、近づいてくる気がしています。
学生記者:とてもお二人らしいですね。有難うございました。
株式会社Seasonから学んだこと
インタビューを通して、とにかく突き進まれているSeasonさんの行動力を感じました。それがお二人の座右の銘にも表れています。人はだれしもリスクを恐れて、安全な道へ行ってしまうものですが、Seasonさんには「農業で幸せの連鎖を作る」「世の中に種をまく」という明確な夢があるため、とにかく行動されるのでしょう。昨今、SDGsに注目が集まる中で、このような持続可能な農業というのはまさしくこれに当てはまるものです。インドネシアからやってくるインターン生との取り組みも楽しみです。今後も株式会社Seasonさんの動向に目が離せません。