本記事は、Grow spiral代表の菅谷快晴さんに取材を行いました。記事を書く我々と同じZ世代の学生が何を思い、考え、起業をしたのか。そして起業してそう感じているのか、現代社会に対する思いにも迫っていきます。
菅谷さんが代表をしておられるGrow spiral(グロウ スパイラル)の概要について
Grow spiralは、2024年の1月18日に立ち上げたECサイトの商品ページ素材制作というマーケティング支援事業。代表は菅谷快晴さんが務めており、化粧品・洗剤類の企画、販売及び輸出入をしている株式会社Lifexiaの中の1つの事業部として位置しています。
従業員は全19名で、福知山、東京、横浜の学生達で構成されています。具体的には、楽天市場などのECサイトで使用する商品ページ制作、商品ページの素材制作を行っています。今は福知山市の企業に対してビジネスをしているそうです。
学生が社会に挑戦する!
記者:菅谷快晴さん、よろしくお願いいたします。では早速、Grow spiralを立ち上げた背景を教えていただけますか?
菅谷:はい。まず個人的な思いとして、かねてからずっとビジネスを通じて社会貢献したいという思いがありました。その思いから始めた大学2年生の初期にレンタル大学生という事業を立ち上げましたが、1ヶ月も経たずに潰れてしまいました。 その後2023年のNEXT産業創造プログラムに参加し、株式会社Lifexiaさまとご縁をいただいて、その中で事業を起こしました。
記者:先ほど従業員が学生19名とお伺いしましたが、多くの従業員を抱える団体として、マネージメントやコンプライアンスで特に重要だと考えていることは何ですか?
菅谷:んー、現在そこまでコンプライアンスについては厳格に決められていませんが、マネジメント に関しては 、人1人1人に結構フォーカスしたマネージメントを大切にしています。やはり人によってマインドは異なるので、個別の対応に注力しています。どんなニーズを抱えてるとか、どういうものを得たいとか、そういうのも結構話し合うこともありますね。
でも実際、それに見合った仕事をうまく与える事はかなり難しいですね。モチベーション維持の方も結構難苦悩しています💦ただ、地域の想いをカタチにし、“生き抜ける“人材を育てる事を使命に僕は向き合い続けます。
学生と社会人の差
記者:学生19人のマネジメントは大変ですね。事業していくとプロの方や社会人の方と関わることが多くなったと思うのですが、学生と比べて社会人の人たちとの差を感じた点はありますか。
菅谷:そうですね、差を感じた点は大きく2つあります。
1つは、知識と経験の差はやっぱり大きくあると思います。特に社長の飯渕さんを見ていて、社会や経営、組織に関する知識だったり、圧倒的な差があると感じています。
もう1つは、責任感と危機感の差だと思います。今までずっと消費者としてお金を払ってサービスを受けてきた側でしたが、お金をいただく「ビジネス」では常に責任感と危機感を持っておく、その自覚が重要なんだと感じています。
記者:先ほどのお話の中で、社会人として活躍されてる方との差として、知識、経験、責任感、危機感があると伺いましたが、 学生ベンチャーとして活動されるなかで立ちはだかる障壁はありますか。
菅谷:そうですね。経験や人脈が1番の障壁ですね。学生ベンチャーとしてはこれが1番の障壁かと思っています。私は飯渕さんの力を借りることで克服しています。特に地域の学生ベンチャーは企業とマッチする場が多くないので。
それと、学生ベンチャーの場合は時間の制約もありますね。学生って時間あるように思えて意外となくて、アルバイトや課題、テストによる制約は、社会人の方と比べてかなり差が出てしまいます。
責任感も、学生が多くなるにつれて社会人の方々で構成された組織との差は出てしまいますね。
記者:ありがとうございます。 この事業を通して学生たちにどのようなスキルが身に付き、それをどのように評価されていますか。
菅谷:学生が得られる知識は、人それぞれなところもあると思います。役割によって違うと思いますし、得たい能力によっても違うと思います。ただ、共通して得られるものとしては組織なので、チームワークだったりとか、 リーダーシップ、フォロワーシップはある程度は身につけられるんじゃないかなと思います。あともう1つ大きいのが、ビジネスセンスですね。ここでお金が生まれてるんだなと実感することができるし、自分でお金を生むっていう経験ができるので、ビジネスセンスは磨くことができると思います。もう1つは、 効率的なタスクを処理するスキルを身に付けられると思います。学業やアルバイトなど、他のこともしている人もいて、混乱してしまう場面もあると思うんです。ただ、全部やらなきゃいけないとなると、必然的にタスクを管理しないといけなくなりますよね。なので、それは自然と身につくと思っています。
評価に関しては、3か月に1回、自己申告性で評定っていうのを行ってます。これまでしてきた活動や、自分のもつ能力をアピールをする場面は、 就活や社会に入ってからも必要になると思います。
記者:ありがとうございます。この形は組織全体で一体感が生まれる仕組みになっているように感じますね。
駆け出したこの一年半
記者:菅谷さん個人にお伺いします。ご自身で事業を立ち上げてから今までの間で、成長したと感じる部分があれば教えてください。
菅谷:やっぱり知識はかなり増えたと思います。精神面では、ストレス耐性がついたかなって思います。それに伴ってリーダーシップもついてきてるんじゃないかなと思います。あと、周りを見るようにもなりました。人が増えた分、 ちゃんと見るようになりました。
記者:ありがとうございます。少し関連していることですが、 団体の拡大などは考えていますか。人数規模や事業の範囲など、今後5年間程度先までで考えていることがあれば教えていただきたいです。
菅谷:現段階では大幅な拡大は考えてないです。足りないところを補う程度の拡大は考えてますが、大幅な拡大は考えてないですね。それこそ基盤が整いきってないので、 それが整ってからじゃないとやっぱり入ってから混乱すると思います。ただ、半年後や1年後、2年後の拡大を考えてます。他地域との連携や、他大学との連携を考えている段階です。5年後については技術の進歩もありますし、想定しにくいですね。売り上げの目標も立てられていなくて、立てないといけないなと感じています。
記者:確かに最近の技術革新がすごいあまりに、何年後かというのはあまり想像できなくなってきましたね。
菅谷:そうなんですよね。商品ページを使わない時代が来るかもしれないですね。商品ページの形が変わってる可能性もありますし。
取材後記(筆者)
今回の取材から、学生の起業や組織運営の難しさを学びました。菅谷さんのお話にあったように経験や人脈等、学生という立場では限界があるため理解ある協力者の存在は欠かせないと感じました。その分得られるものも多く、リーダーシップやビジネスセンスのように学生ベンチャーとして活動されているからこそ得られ、磨くことのできるものもあると感じます。
菅谷さんのような経験をされている学生は現状決して多くないと思いますが、このような活動が活発化すれば起業を目指す学生のハードルが下がり活動の幅が広がることにもつながると感じました。同じ福知山公立大学の学生という身近な立場で活躍されている菅谷さんとGrow spiralの今後に注目したいです。
筆者:福知山公立大学地域経営学部地域経営学科二年 前田海翔、三年 森中公太