NPO法人おひさまと風の子サロンってなに?

今回インタビューさせていただいたのは、福知山市で地域子育て支援ひろばを運営されている「NPO法人おひさまと風の子サロン」(以下、おひさまと風の子サロン)さんです。おひさまと風の子サロンさんは子育て中の保護者と子どもを対象に、子育て支援事業を行うことで子育てしやすいまちづくりに寄与することを目的とし、活動されています。今回は理事長である足立喜代美さんにお話を伺い、これまでの活動と、これからについて迫っていきます。
学生記者:おひさまと風の子サロンが設立された背景や、代表ご自身の経験がどのように影響しているのでしょうか。
足立さん:私の子どもが3歳と1歳の時に子育てサークルに参加しました。当時は親子で12名のサークルの代表になって、数年で140名が所属するようになりました。国から行政が子育て広場事業を委託されたことがきっかけで平成4年から「おひさまひろば」を始め、現在も活動を続けています。当時、親と一緒に赤ちゃんで参加していた子どもが現在は親となり「おひさまひろば」に参加してくれるようになっています。
学生記者:そうなのですね。
足立さん:平成19年に子育て支援のNPO団体を作らないかと行政からもちかけられて、初めはNPO法人の設立に関して正直興味を持っていなかったけれど、その当時不登校の子どもの相談などを、児童相談所の課長と一緒に子育て相談会を開催することで対応しており、課長が定年退職することをきっかけに、保護司、保育士、行政書士、そして子育て中のお母さんたち計10人を集めてNPO法人を立ち上げました。
より良い関係を築くために
学生記者:次に、代表として子育て支援や親子支援をするにおいて、大切にしている価値観や取り組みはどういったものでしょうか。
足立さん:まず、保護者向けの情報誌をおひさま広場設立時から発行しています。情報誌の作成自体は福知山市内のデザイン会社に受注していますが、内容はスタッフで考えています。福知山市内の様々な場所に置いてもらうことで団体の活動を広報しています。次に、LINEを活用し、保護者からの相談やイベント情報の発信などの活動をしています。24時間相談できるため、例えば子どもを寝かしつけた後気軽に相談するといったことができ、保護者の不安解消につながっています。子育てでしんどい思いをしているのは自分だけではない、同じ思いをしている子育て親はいっぱいいるということを知ってもらえたり、子どもの笑顔に癒されたりとしんどいだけではなく楽しく子育てできればと思っています。
学生記者:情報誌としてのクオリティの高さ、そして支援の手厚さについて実感できました。足立さんが重要視している考え方はありますでしょうか?
足立さん:人とのネットワークを築くことが重要だと考えていて、直接対面で話すことで関係を築いています。現在はSNSで簡単に情報を手に入れることができますが、あまりそれにふりまわされないようにと感じています。おひさまひろばを始めた当初はネットワーカーという名前を使っていて、行政と子育てをする保護者をつなぐ役割として活動していました。
学生記者:僕たちのような学生記者も色々な方とお会いするのですが、1回きりの関係で終わってしまうことが多いので、深い関係を築くことは重要ですね。

17年間の活動を通じて
学生記者:17年間という長い期間活動してきたと思うのですが、活動当初から変化していったことはありますか。
足立さん:活動する場所自体が変わりました。平成20年から28年までは商店街の空き店舗を使っていました。この場所では金銭的な負担が大きいこと、場所が分かりにくいという問題があったのですが、行政の支援によって浸水の被害を受けた施設を増改築し、現在の「すくすくひろば」という子育て支援施設が出来上がり、3年ごとの審査をうけて子育て支援事業を受託しています。
学生記者:新たに場所を変えたことで、今まで抱えていた問題を解消できたのですね。今現在抱えている問題などはありますでしょうか。
足立さん:私自身やスタッフの負担は軽減することが出来たのですが、保護者の負担はあまり変わっていなくて、この施設の利用者が大体0~2歳の子が多いので、3歳以上の子が元気に遊べる場所、雨の日にも遊べる場所がなかなかないのが保護者の悩みですね。

足立さんの将来展望
学生記者:最後に、今後何を目指して活動を続けていくかについて教えてください。
足立さん:NPO発足から17年が経って、あと3年で20年が経つので、この3年間で後継者を育てて引き継ごうと考えています。
学生記者:おお。どうしてそう考えているのですか。
足立さん:おひさまと風の子サロンとしてのシステムはほぼ確立していることと、団体の活動を長く継続させていくためには循環させていくことが必要だからです。今のスタッフに後は託して新たな支援活動を始めていきたいと思っています。
学生記者:具体的にはどのような支援活動でしょうか?
足立さん:私は今、「放課後スクールここはじ」でフィリピンの高校生に漢字を教えています。また、このすくすくひろばにも様々な国籍(アメリカ、インドネシア、ベトナム等)の保護者が利用しに来ているということもあり、ちょっとした困りごとに対応できる身軽な立場となり、産後ケアでしんどい保護者への個別の支援もできればと考えています。
学生記者:本日は貴重な機会を有難うございました。

編集後記
今回のおひさまと風の子サロンへの取材は、理事長の足立さんの子育て支援に対する思い、すくすくひろばの今と未来について知ることが出来ました。今回の取材を通して、子育てに対する自分自身の関心を深めることができ、こういった支援活動を多くの保護者に知ってもらうことで負担の軽減や困ったときの相談役としての価値が高まっていくというように思いました。これからのおひさまと風の子サロンの活動によって、悩みを持つ保護者の救済につながっていってほしいと思います。
〈執筆者〉福知山公立大学 地域経営学部 地域経営学科 2年 畠山瑛成