Note03にてご紹介したseasonさんが、何やら新規プロジェクトをしてるとの情報を聞き、取材してきました!
ぜひ、前回の記事も併せてご覧ください。
- 「万願寺とうがらしをあめに!?」
- 実際に郵便局で販売!
- 事業を通して、学生が感じたこととは。
- 農業のサステイナブル(今後の展望)
「万願寺とうがらしをあめに!?」
『万願寺とうがらし』とは、舞鶴市で誕生したと言われている夏野菜で、とうがらしなのに辛くなく、肉厚で瑞々しく甘味ある京野菜です。こう話すのは、株式会社Seasonの久保世智 社長。
株式会社Seasonでは、福知山で日本最大規模の面積で年間約60トン以上の万願寺とうがらしが生産されています。そのため、商品規格から外れたものも多く、年間約3トンの万願寺とうがらしが利用されずに廃棄されているそうです。
株式会社seasonは、この事態を何とかしたいと思い、令和5年NEXT産業創造プログラム(*1別途注記)にアドバイザリーとして参加されました。
(*1)令和5年NEXT産業創造プログラムとは、福知山で開催される、起業をめざす方が必要な知識やスキルを短期間で修得するための短期プログラム。
その中で、同プログラムに参加している福知山公立大学の8人の学生と市職員1名は、seasonのビジョンに共感を持ち、持続可能な農業の未来を目指すために、廃棄を活用したプロジェクトに挑戦。
まずは2023年8月、渋谷にあるイノベーション創発施設「SHIBUYA QWS」にて、「辛くない!京野菜:万願寺とうがらし廃棄ロス活用アイデアワークショップ」を開催。
その後福知山に戻り、同プログラムに参加している受講生と共にアイデアをさらにブラッシュアップさせ、ターゲットを受験生に定め、「福と知が山盛り」の福知山と「万人の願いをかなえる開運野菜」と言われる万願寺とうがらしの縁起の良さをかけて「万願成就あめ」を考案。
また、製法にもこだわりを持った。京都の伝統産業も一緒に盛り上げよう!という思いから、伝統的な「京あめ」の手法で、商品化。万願寺とうがらしを粉末にし、砂糖や水あめに混ぜ、直火で炊き上げることで、京あめの「万願寺とうがらし味」を完成させた。
万願寺とうがらし味の他にも、Seasonの本拠地である福知山市三和町の特産品「三和ぶどう」をジュースにした際に残った種や皮を活用した「三和ぶどう味」や、クエン酸を入れた「すっぱ~い味」バージョンの3種類。
実際に郵便局で販売!
実際に、福知山市内の郵便局5カ所で(1袋14個入りで500円)無人販売をした。2023年12月19日〜2024年2月末まで、販売場所は福知山、福知山駅南、福知山篠尾、細見、三和の郵便局5カ所。
また、SHIBUYA QWSや大学の事務局、知人に無料配布し、どのパッケージが一番売れるのか?販売個数と同時にアンケートも回収してテストを行った。郵便局の販売に合わせて、地域のイベントや新聞社やラジオなどに出演し、発信活動も行った。
アンケート結果の分析を行ったところ、特にZ世代を狙ったパッケージは必要なかったと言う結果が得られたと言うことだ。主な購入理由として、フードロス対策への貢献、またすっぱいはどのような味か気になる人が多いと言うことが分かった。
事業を通して、学生が感じたこととは。
平田翔大さんは、「課題解決に向けて、民間企業が事業の中に社会貢献性を組み込むだけでなく、地域住民に問題意識を醸成し巻き込む事が大切であると感じました。」
甲斐裕基さんは、「フードロス削減を掲げての商品開発や販路開拓、販売は大変なことがたくさんありました。しかし、活動を通してなぜ私たちが行うのか、何を解決したく活動するのかを意識することが大切と感じました。」と振り返っていた。
農業のサステイナブル(今後の展望)
NEXT産業創造プログラムは2024年3月にて終了したが、学生は今後も株式会社seasonとともに事業を続けていくそうだ。また、本プロジェクトによってフードロス問題が全て解決したわけではない。株式会社seasonは、サステイナブル農業の実践企業として持続可能な食料供給体制の構築を、J-クレジット(*2)、食品リサイクルループ・カーボンマイナス(*3)などの手法によって確立し、「世の中に種をまく」というビジョンに向かって走っていく。
(*2)J-クレジット制度とは、省エネルギー設備の導入や再生可能エネルギーの利用によるCO2等の排出削減量や、適切な森林管理によるCO2等の吸収量を「クレジット」として国が認証する制度です。(J-クレジット制度HPより引用)
(*3)食品リサイクルループ・カーボンマイナスとは、食料生産と食品廃棄物処理における環境負荷を低減するための取り組みのこと。食料生産における環境負荷を最小限に抑え、さらに二酸化炭素を実質的に吸収する「環境再生型」の持続可能な食料システムを構築することが可能になる。
取材後記(最後に)
本来廃棄されてしまうものに付加価値をつけて、新たな商品として販売することはフードロス対策となる他に、フードロスと言う社会課題への意識が広まる点も、持続可能な社会への好循環が起こっていると感じた。特に、Z世代である学生が持続可能性について真剣に向き合い、地域企業と連携し、実際に商品販売まで行ったことは非常に有意義であると感じた。
この万願成就あめプロジェクトは、このNEXTE福知山学生記者部と同期のプロジェクトであり、今後も我々は情報発信の媒体として、応援していきたい。
<執筆者> 福知山公立大学地域経営学部地域経営学科3年 森中公太
取材協力:福知山公立大学4年生正木杏奈さん、3年生平田翔大さん、本馬惇平さん、2年生甲斐裕基さん、工藤愛さん、磯崎泰智さん、高島駿斗さん、森中公太さん、 福知山市産業観光課塩見蓮さん、株式会社season久保世智さん、安部大輔さん