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Style note 08:SHIBUYA QWS副館長 米山孝生さん〈SHIBUYA QWS発展の秘訣に迫る〉

  • はじめに
  • SHIBUYA QWSがここまで発展した道のり...
  • SHIBUYA QWSって他と何が違うの?
  • 地方からはどうやってイノベーションを生めばいいのだろうか...
  • SHIBUYA QWSはどうなっていくの?
  • おわりに

はじめに

私たちStyle Noteは、2024年1月26日に東京都渋谷区にあるSHIBUYA QWSを訪問いたしました。本記事はその際に実施した、SHIBUYA QWS副館長 米山様(以下、米山副館長)へのインタビュー記事です。2024年2月14日にSHIBUYA QWSの概要をまとめたQWS行ってみた記事」を投稿しておりますので、そちらもぜひご覧ください。

SHIBUYA QWSがここまで発展した道のり...

学生記者:まずお聞きしたいのですが、SHIBUYA QWSはどのようなきっかけで作られたものなのでしょうか。

米山副館長:SHIBUYA QWSがある「渋谷スクランブルスクエア」というビルは、渋谷の再開発を目的の一つとして、東急、JR東日本、東京メトロの3社が共同して 建てたものです。この場所に、スタートアップを支援しようという世の中の潮流を受け、産学が共同で新しいものを世に放ち、新しい価値を提供していくことを目的として創設されたのがSHIBUYA QWSです。

学生記者:そうなんですね。その中で米山副館長はどうしてSHIBUYA QWSに入社されようと思ったのですか。

米山副館長:実はSHIBUYA QWSには入社という概念がありません。SHIBUYA QWSは現在、新入社員は採っておらず、東急、JR東日本、東京メトロの3社からの出向者しかいません。その中で、私は東急から来ました。QWS=Question With Sensibility(問いの感性)と言っていますが、誰が何をやっているかわかんない。それが面白そうだったので、自分から手を挙げてここに参加しました。

学生記者:そういった経緯だったんですね。それでは、米山副館長が来られた当初のSHIBUYA QWSについて伺ってもよろしいでしょうか。

米山副館長:私は2020年にSHIBUYA QWSに来ましたが、そのころはコロナ禍真っ只中だったので、オンライン授業を受ける学生さんが多かったように感じます。

学生記者:確かにここは家では集中して勉強できない人にとってはいい場所かもしれないですね。しかし、今では学生に限らず、会社員や起業家の方などがいらっしゃって、様々な用途で使用されているように感じますが、どのように広まったのでしょうか。

米山副館長:それはズバリ「口コミ」です。SHIBUYA QWSではこんなことができるというのが口コミによって広まりました。パートナーに関してもそうです。営業をかけたり、広告を出してるわけではありません。「新たなネットワークを築けるよ」「コミュニティーが広がりますよ」と謳っても、正直ピンとこないと思います。実際に体験してもらうのが一番であり、それを人から聞いてここに来てもらう仕組みなんです。会員には10代の中学生もいれば、90代の方もいました。

学生記者:皆さんご自身で会費を払われているのですか。

米山副館長:企業の方は企業、自治体の方は自治体で払っているケースもありますね。あと、これは学生さんが多いのですが、QWSチャレンジというものがあります。

学生記者:QWSチャレンジ?

米山副館長:はい。SHIBUYA QWSは基本的には有料会員施設なのですが、3か月無料で使用できる制度があります。これがQWSチャレンジです。自分たちが持っている問いから、SHIBUYA QWSでこんなことがしたいというものを提出してもらい、外部の採択員に一人でも「いいね」と言われれば、使用できます。

学生記者:なるほど。自分たちもぜひ挑戦したいですね。

米山副館長:挑戦をお待ちしております。

SHIBUYA QWSって他と何が違うの?

学生記者:このようなコワーキングスペースのような場所は他にも見受けられますが、他との差別化はされているのでしょうか。

米山副館長:ここは一般的なコワーキングスペースではなく、イノベーションを生む場だと考えています。ぶっちゃけた話、「パソコンの仕事をするなら来なくていい。口を動かせ。」と思っているんですね。対面で実際に話すことで何か新しいものが生まれるような仕組みにしています。

学生記者:コミュニケーションが取りやすくなるようなハード面の工夫もあるようですね。何かを参考にされたのですか。

米山副館長:世界中の様々な施設の事例を研究していると、日本は施設内でブースを分ける傾向にあるということに気づきました。ブースを分けることで、出会いの機会を減らしているのではないかと考えました。この点を踏まえて、SHIBUYA QWSではオープンスペースを提供して個室化を避け、人々が交流できる場を提供しています。また、学生や社会人などの隔たりをなくしています。さらに、机や椅子をフリーアドレスで配置し、自由な移動ができるようにしています。

学生記者:確かに、以前写真で見た時と机の配置が違いますね。

米山副館長:どこのスペースも毎日違っています。「今日はイベントをやるからこういう形」などいろいろな用途に応じて変わるんです。また、予約制ではありません。その日、早く来た人から好きなところに座る。そうすることで毎日違う顔ぶれになり、新たな出会いが生まれやすくなるんです。また、先ほど述べたQWSチャレンジによって、3か月ごとに人が入れ替わることも、新たな出会いが生まれやすいポイントですね。

学生記者:とはいっても、来ている人の中には「人に話しかけるのは少し恥ずかしい」と感じる人もいるのではないでしょうか。

米山副館長:そうですね。そこで、SHIBUYA QWSの規定には「他の会員と協調性をもって行動すること。」というものがあります。これによって、話しかけられたら快く応じなければならないし、交流を促すポイントとなっているかもしれません。また、ここのスタッフはコミュニケーターというのですが、コミュニケーターが積極的にコミュニケーションをとっています。

学生記者:たしかに、コミュニケーターの皆さんは積極的にお話をされているのが見て取れますね。

米山副館長:そうなんです。ただいるだけではないんです。一般的なこういった場所のスタッフは、受付にいて、「あとはご自由にどうぞ」といった形だと思います。でも、それでは新たな出会いがあまり生まれないと思うんですね。なのでSHIBUYA QWSのコミュニケーターは「どんな人と出会いたいですか?」「今日こんな人が来てますよ」など密接にかかわっていきます。

学生記者:どのような方がコミュニケーターをされているのですか。

米山副館長:様々です。大学生の方もいますし、社会人の方もいます。コミュニケーターに求められるのは、来ている人が何をやっているのかを知り、それを共有することで、新たな出会いのサポートをすることです。そのためには全員の顔と名前が一致することが必要です。

学生記者:何かの専門家とかではないんですね。

米山副館長:はい。一つ共通することはみんな話が好き、人との交わりが好きということですね。

◎SHIBUYA QWSには交流しやすくするための仕掛けがいっぱいある!【固定概念をぶっ壊された!!!】

学生記者:来ていただいた人との交流の中で、話を聞きだすコツのようなものはあるのですか。

米山副館長話しやすい雰囲気を作り出すことが大切ですね。いきなり本題に入るのも良いですが、少し笑いを交えて雰囲気を和ませることで、話し手がリラックスして話せる空気を作ります。また、こちらから事業のお話をする時もそうです。まず、自分がやっていることを詳しく述べて、素性を明らかにする。それから話すことによって、受け手も趣旨を理解して、聞くことができます。

学生記者:今、隣のブースではイベントが盛り上がってますね。SHIBUYA QWSではどのようなイベントが行われるのですか。

米山副館長:本当に多岐にわたります。1つ面白かったのは「異文化を学ぼう」というイベントの中で、1時間ほど座学を行った後、みんなでサルサダンスを踊ったこともありました。SHIBUYA QWSでは基本的に「NO」と言わずに希望通りやりたいことをやってもらいます。なぜなら、こちらが「NO」と言ってしまったら、その人たちの活動を止めてしまうからです。たとえセンシティブな話題であったとしても、一緒になって内容を考え、実現に向けて取り組みます。

学生記者:なんでもいいんですね。どこかSHIBUYA QWSでイベントを行うハードルが下がった気がします。

米山副館長:そういった意味では、SHIBUYA QWSでイベントをすることはハードルがないんですね。

学生記者:自分たちも日々活動していく中で、「これはダメだ」などと常識にとらわれすぎて、思考が凝り固まってきている気がします。SHIBUYA QWSではそれに気付かされそうですね。

米山副館長:子供のころは「なんで?」「どうして?」とすぐ疑問に思うけど、成長するにつれて、自分の判断基準で、物事を片付けてしまいがちになります。そうなると自分の中で殻をかぶってしまうことになりますが、SHIBUYA QWSでは、人との交流によって、この殻を破れますね。その代わり、自分と他人の違いについては分かり合う必要がありますね。

学生記者:人との交流を通して、自分を見つめなおすことができるってことですね。

米山副館長:それもそうですし、例えば、自分が解けない問いを人に解いてもらったり、逆に、人の問いを自分が解いてあげることもできます

地方からはどうやってイノベーションを生めばいいのだろうか...

学生記者:SHIBUYA QWSでは、なぜイノベーションが生まれやすいのかだんだんわかってきました。それでは 、私たちの住んでいる福知山のような地方ではイノベーションを生むにはどうようなことが有効だと考えますか。

米山副館長:地方ではイノベーションが生まれにくいという潜在意識があるかもしれませんが、これは考え方次第だと思います。たとえば、福知山において何が可能なのか、何ができるのかを考えてみることが重要です。例えば、渋谷と同じことを行っても成功する保証はありませんし、北海道と同じ取り組みをしても成功するかどうかはわかりません。福知山にはどんな資源や魅力があるのかを分析し、その特性を活かして何が実現可能かを考えることが重要です。地域の資源や文化、人材を活用することで新たな価値を生み出すことができるでしょう。

SHIBUYA QWSはどうなっていくの?

学生記者:では、ここからはSHIBUYA QWSの今後について伺っていこうと思います。現在、SHIBUYA QWSには様々な人が来られていますが、これからどんな人に来てほしいですか。

米山副館長変人です。何をやっているのかわからない人に来てほしいですね。というのも、世の中にはもっと面白いことをやろうとしている人がいると思います。そのような人と一緒に面白いことを実現する場所でありたいです。

学生記者:そんな中でSHIBUYA QWSとして最終的に目指す形、つまり、ビジョンみたいなものはありますか 。

米山副館長:1つは、今ここにあるプロジェクトが世界中で羽ばたいてほしいということです。しかし、SHIBUYA QWSとしてはこれを生み出すことが目的ではなく、あくまでも、そのようなものが生まれるような場所づくりを行っていきたいです。新しいことに取り組む人たちを応援していきたいんです。その中で、羽ばたいていったプロジェクトのメンバーが、SHIBUYA QWSで生まれた(ここから生まれたんだから)と思い出してもらえるようなところにしたいですね。

学生記者:最後の質問になります。今後もSHIBUYA QWSではたくさんのイノベーションが生まれると思いますが、新しく何かに挑戦する人に一言お願いいたします 。

米山副館長:よく「どうやったらスタートアップが生まれるのかわかりません」という声を耳にします。その時に思うのは、そう言っているだけでは何も始まらないということです。だったら何か自分で始めてみたら よいのではないでしょうか。特に学生の皆さんは失敗したとしても、大きな影響はないはずです。なのでここにいる学生さんには「ここにいるうちにいっぱい失敗しておきなさい」といつも言っています。その失敗から得る経験のほうがもっと大きいはずです。

おわりに

SHIBUYA QWSは垣根を越えたネットワークの構築・拡大が可能なホットスポットで、ここに来れば何か得られるかもしれないと思える、そんなワクワクする空間でした。それは、人が繋がりやすいような「環境づくり・場づくり」がなされているからであるように感じます。この場所でイノベーションが生まれる仕組みについて肌で体感することができました。関わった方々は皆親切で好奇心旺盛だったこと、大人になっていくにつれて増えていく凝り固まった常識や、概念に気づかせてもらえる時間となりました。また、ネットワーク拡大という広い意味ではNEXTE福知山やStyle Noteにも近しい所があるので米山副館長に学んだことを取り入れながら私たちの成長につなげていきたいです。


<執筆者>  福知山公立大学地域経営学部地域経営学科2年 高島駿斗、森中公太、渡部大陸

<インタビュアー> 高島駿斗

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